日本人と建築

古(いにしえ)の昔から人々は作物が豊かに実るように祈り、豊かな収穫に感謝してきた。そしてこの世界をつかさどる

大いなるものが存在しその豊かさを与えてくれているのを感じていたのではないでしょうか。

 

その祈りの「場」や感謝の「場」として今も神事で行われるように大地にしめ縄による結界をつくり、供えものを奉納し、

お招きしてそして帰っていただく。

そして段々と社(やしろ)が自然とできていく。その社の原型が伊勢神宮に見ることができます。

 

その建築は、あくまですがすがしく、清らかで軽く、明るく、滞りなく、「さやけさ」という言葉で表現されていく。

また、中世の「わび」「さび「数寄」、江戸の「粋」といった日本人の美しさの源流となっていく。

ギリシャの建築は崩れ行き、ピラミッドやスフィンクスも風化していく中で伊勢神宮は20年ごとに1300年もの間、

工法や様式を変えることなく建て替え続けられている。

そのDNAは延々と続き、作られた当時と変わらずに白木の輝きと香りを放ち続けている。神々しく、すがすがしく、

清らかで軽く、明るいその姿は当時の人々も感動したに違いありません。

古の人たちと同じ感動をまた今私たちも、未来の人たちも共有できるのである。他の国にはない日本文化、

日本建築の奇跡ではないでしょうか

 

日本の建築の美しさの中にあるまた、日本人の心の中にある軽みを好む美意識、とらわれない清らかさ、単純明朗さ、

自然の素材に忠実な心を現代の建築に少しでも生かしていければと思います。

 

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