冷たい水を注いだコップの外側に、しばらくすると水滴がつき、
コップを持ち上げるとテーブルにコップ底の形の水滴の塊ができる。
小学生の頃、私が不思議に思っていた現象の一つだった。
空気が冷やされることで、空気に含まれる水蒸気が液体に変わる現象。
日常の至るところで目にする自然現象である結露だ。
その結露は、建物にとって傷む要素の一つであり、
そこからカビの発生につながり、人体にも害をもたらし・・・・。美観も損ねる・・・。
建物をつくる建築士としては、結構厄介な相手だ。
でも、結露のメカニズム自体は難しい理屈ではない。
空気は、ある程度水蒸気を含んでいて温度によって含むことができる水蒸気量が異なり、
暖かい空気ほど多くの水蒸気を含むことができる。
気温が下がれば、その空気が保持できる水蒸気量は少なくなり、
飽和水蒸気量を超えた保持しきれない分の水蒸気は水に変わる。
これが結露が発生する仕組みで意外と単純である。
しかし、結露のメカニズムを知っていても完璧に防ぐのは容易ではない。
結露には、表面結露と内部結露があり、断熱・気密・暖房・換気の4つのバランスをとれれば
ある程度防ぐことができる。と言われているが・・・
地域性や夏、冬、温度・湿度や雨などの自然現象の変化と、
人の快適な室環境や生活スタイル(家事、娯楽、入浴など)から変動する温湿度など。
その差のバランスをとり、埋めていくのは
施工精度や建築コスト(イニシャルコスト・ランニングコスト)にも影響するし
生活される人の使い勝手にもまた大きく左右される。
そういう我が家の窓ガラスも結露する・・・。
文献や実験研究データをみながら頭を悩ます今日である。
建築は範囲が広く深い知識が必要だと仕事を通じて感じる。
仲本 幸司